『現代用語の基礎知識』選 T&D保険グループ 新語・流行語大賞2025が12月1日に発表され、今年の年間大賞に選ばれたのは、高市早苗内閣総理大臣が自民党総裁就任時に語った「働いて働いて働いて働いて働いてまいります/女性首相」でした。

5度にわたる「働いて」の繰り返しは、力強い決意として広く注目を集めました。

受賞の背景:強い覚悟が共感を呼んだ

この言葉が大賞に選ばれた理由は、単なる話題性だけではありません。

選考委員会は、日本で初めての女性首相という歴史性や、政治への期待感、そして「働く」という言葉が持つストレートなメッセージ性を高く評価したようです。

就任直後というタイミングもあり、メディアやSNSでの露出が増えたことも受賞につながりました。

賛否両論——言葉が映すもの

一方で、働き方に疲れを感じる人々からは「働き過ぎを促すのでは」との懸念も上がりました。

言葉は受け手の立場で受け止め方が変わるため、同じ表現でも賛否が分かれるのはこの賞の常でもあります。

今回の大賞語は、期待と不安の両方を映し出す象徴的な例と言えるでしょう。

トップ10から見る2025年の世相

年間大賞のほか、今年のトップ10には多彩な言葉が並びました。以下に簡単に解説します。

エッホエッホ

動画プラットフォームで流行したネットミーム。作業のリズムやユーモアとして受け入れられ、若年層を中心に広まりました。

オールドメディア

新聞・テレビなど従来のメディアを指す言葉。デジタルと既存メディアの情報環境の違いが議論を呼びました。

緊急銃猟/クマ被害

クマによる被害増加を受け、地域が緊急的に銃猟を許可した事例を表す語。安全対策と環境保護のバランスが問われるきっかけとなりました。

国宝(観た)

話題作「国宝」を観賞したことを示す表現。SNSでの共有文化が進み、作品鑑賞が一種のコミュニケーションになったことを象徴します。

古古古米

古い在庫米が続けて流通する状況を揶揄する言葉。物価や食品ロス、農政に対する関心の高まりを示します。

戦後80年/昭和100年

節目の年を迎え、歴史の継承や記憶の扱い方が改めて議論されました。

トランプ関税

米国の政策が波及し、貿易や産業面での影響が改めて注目されました。

二季

季節感の変化を表す語。春・秋が短くなるという実感が、気候変動への関心を高めました。

ミャクミャク

大阪・関西万博のキャラクター。親しみやすさから話題を呼び、地域活性の象徴となりました。

また、選考委員特別賞には「ミスタープロ野球」が選ばれ、長年の功績が称えられました。

まとめ:言葉が教えてくれること

2025年は、政治の転換、情報環境の変化、自然や生活を巡る課題が交錯した年でした。

「働いて働いて…」という言葉は、前向きな決意として受け取られる一方で、現代の疲労感や働き方の在り方を考えさせるきっかけにもなりました。

言葉は時代の気配を映す鏡です。今年の受賞語を通じて、私たちがどのように暮らし、支え合うかを改めて考える機会になればと思います。