2025年11月12日午後、岩手県のいわて花巻空港で滑走路が約1時間にわたり閉鎖される騒ぎが起きました。原因は、空港敷地内に現れた「クマ」。盛岡市や八幡平市でも目撃や人身被害が相次いでおり、県内全域で警戒が強まっています。

滑走路閉鎖の原因は“野生のクマ”だった

12日午後1時すぎ、花巻空港の職員が西側の駐機場にクマ1頭を発見。安全確保のため、滑走路が一時閉鎖されました。警察や空港職員の捜索の結果、午後2時30分には解除されましたが、大阪(伊丹)便と福岡便の2便で遅延が発生しました。

空港の柵は高さ約2メートルで、侵入防止の特殊加工も施されていますが、クマがどのように侵入したかは不明。空港事務所は「今後の再発防止策を検討する」としています。

混乱する空港利用客「本当に出るんだと驚いた」

名古屋から到着した乗客の一人は「荷物が地上のクマで出てこなかった」「まさか空港でクマとは」と驚きを隠せない様子。別の乗客も「到着してすぐに“クマ出没”と聞き怖くなった」「予定が狂った」と話しました。

盛岡市中心部でも相次ぐクマの目撃情報

盛岡市では同日午前、中央郵便局付近や下小路中学校周辺でクマの目撃が複数回報告されました。午前5時半ごろ、中央通で成獣とみられる1頭が確認された後、北東約800メートルの住宅地でも同一個体と見られるクマが出没。下小路中学校は臨時休校となりました。

さらに、盛岡市山岸や中野地区でも成獣が目撃され、警察は少なくとも3頭のクマが市内に出没しているとみて警戒を続けています。

八幡平市では男性が襲われる被害も発生

同日午前6時ごろ、八幡平市野駄では47歳の男性が自宅近くで犬の散歩中にクマに襲われる事件が発生。男性は頭を爪で引っかかれ、腕や足を噛まれるなどの重傷を負いましたが、命に別状はありません。

警察はクマの行動範囲が住宅地付近にまで広がっているとみて、外出時の注意喚起を行っています。

リンゴ被害も続出 二戸市では100個が食い荒らされる

二戸市米沢では、果樹園のリンゴおよそ100個が食べられており、現場にはクマの糞が確認されました。地元自治体は「冬眠前の時期で食料を求めた可能性が高い」として、農家に対し警戒を呼びかけています。

岩手県内で深刻化する“クマ出没” 背景と今後の対策

岩手県では2025年秋以降、例年以上にクマの出没報告が急増しています。盛岡市では11月12日だけで12件の目撃情報が寄せられ、奥州市でも4件、宮古市や釜石市など沿岸部にも広がっています。

専門家は、ドングリなどのエサ不足や、山林開発による生息域の変化を指摘。クマが都市部や空港などにまで姿を見せるケースが増えており、自治体や空港管理者にとって深刻な課題となっています。

今後の注意点

  • 夜間や早朝の外出を控える
  • ごみや果実などの放置を避ける
  • 鈴やラジオを携帯して音で存在を知らせる
  • 出没情報をこまめに確認する

岩手県警や自治体は、引き続きパトロールと警戒態勢を強化するとしています。


(出典:テレビ岩手/2025年11月12日報道)